ナツイロ~俺様部長様とわたしの秘密~(2014年夏短編)


◇ ◇ ◇


学校に着き、部員たちの冷やかしの目に耐えながら楽器の片付けをし、現在、ふたりで帰り道にいます。




「どうだった? 俺からのご褒美は」


「あれはちょっと派手すぎませんか? わたしもう、恥ずかしくて恥ずかしくて…」


「なんだ。気に入らなかったのか?」


「いや、そーゆーわけじゃなかったんですけど、もっと普段の生活の中でさらりと言って欲しかったなあって」


「いいじゃん。結果オーライ結果オーライ!」




そう言うと深月先輩は爽やかに笑った。


実はわたし、ちょこーっと拗ねていたんだけど、この笑顔に免じて、許してあげようと思う。




「それで、俺のご褒美の件なんだが。…明日は暇だよな? っていうか、どうせ暇してるんだろ? まあ、予定があっても俺がこじ開けてみせるがな」


「さ、さいですか…」




明日は、コンクールの翌日。顧問の配慮もあり、1、2年生の部活は休み。


言うまでもなく、3年生は引退してしまったから…ね。




「というわけで、明日、陽香のすべてをいただくってのを、俺のご褒美にしたいんだけど」




キャー!
いきなりなんてこと言うんだこの人!


予想はしてたけれども!
的中したけれども!


そしてまんざらでもないわたしっっ!


< 10 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop