ナツイロ~俺様部長様とわたしの秘密~(2014年夏短編)
◇ ◇ ◇
学校に着き、部員たちの冷やかしの目に耐えながら楽器の片付けをし、現在、ふたりで帰り道にいます。
「どうだった? 俺からのご褒美は」
「あれはちょっと派手すぎませんか? わたしもう、恥ずかしくて恥ずかしくて…」
「なんだ。気に入らなかったのか?」
「いや、そーゆーわけじゃなかったんですけど、もっと普段の生活の中でさらりと言って欲しかったなあって」
「いいじゃん。結果オーライ結果オーライ!」
そう言うと深月先輩は爽やかに笑った。
実はわたし、ちょこーっと拗ねていたんだけど、この笑顔に免じて、許してあげようと思う。
「それで、俺のご褒美の件なんだが。…明日は暇だよな? っていうか、どうせ暇してるんだろ? まあ、予定があっても俺がこじ開けてみせるがな」
「さ、さいですか…」
明日は、コンクールの翌日。顧問の配慮もあり、1、2年生の部活は休み。
言うまでもなく、3年生は引退してしまったから…ね。
「というわけで、明日、陽香のすべてをいただくってのを、俺のご褒美にしたいんだけど」
キャー!
いきなりなんてこと言うんだこの人!
予想はしてたけれども!
的中したけれども!
そしてまんざらでもないわたしっっ!