ナツイロ~俺様部長様とわたしの秘密~(2014年夏短編)


この人のキスは、いつもいつも突然だから、なかなか慣れない。




「陽香ちゃん真っ赤! かわいいっ!」




そういうと今度は抱きついてきた。


もう。部活のときとキャラが違いすぎない?


あまりのギャップで、ギャップ萌えを通り越して恐怖だよ、恐怖。




「ほら、先輩。早く練習して帰らなきゃ。明日はコンクールなんだから」


「えー」


「『えー』じゃない!」




駄々をこねてわたしから離れようとしない。


わたしだって先輩と一緒にいたいのはやまやまだけど、明日はコンクール。早く帰って休みたいのよ。




「ていうか、陽香の演奏は完璧だったからもう指導のしようがないけど?」


「は」


「だから言ったじゃん。イチャイチャの方法があれしかないんだから」


「…だったら、さっさと公表してデートなりなんなりすればいいじゃないですか!」




わたしだってイチャイチャしたいもん!




「だって。だって、堂々とイチャイチャできたら俺、陽香になにしでかすかわからない、し…」


「…は、はぁ」




よく言う、男の事情とかってやつかな。


わたし、深月先輩とならどうなってもいいのに。




「だからさ、ここまで頑張った俺に、ご褒美ちょうだい? そうだな。明日金賞とれたらってのはどう?」


「金賞っ!?」




深月先輩が指導したとは言え我が吹奏楽部が弱小吹奏楽部であることにはかわりない。


深月先輩の鬼のような指導で、この夏の間に実力が伸びたとしても…金賞はかなり厳しいだろう。


ってか、ご褒美って何!? やっぱりピンク系!? わたしは大歓迎だけど。


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