大切な君に
「沙耶、何があったか説明できる?」



和希の優しさに、涙がでてきた。


「うっ…んっ…」


そして、あたしは今までのことをすべて話した。






「そっか…。その倉田ってヤツ…多分空手部だよ…。」



……えっ?




「う、うそ!!」





「本当だよ。あたしも何か言ってやりたいけど…」




「けど?」


「アイツの親、教育委員会の会長なんだ。だから、下手に何か言わない方がいい。沙耶に成績のこと言ってきたのも、会長の息子として1位を保たなくちゃいけないからだと思う。」





教育委員会の息子……。そんなに偉い人の息子だったんだ…。




「そっか…。でもあんまり気にしないようにするよ。たぶん前回のは奇跡だし(笑)」



「はははっ♪そだね。」









その時はまだ気がついていなかった。
彼の本当の苦しみに……。
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