大切な君に
近くにあった灰皿を持って、和希のお父さんに近づいた。













和希のお父さんは腰を抜かして、動けないでいる。









あたしが灰皿を振り上げる。













勢いよく叩きつけようとした瞬間っ!!












「ダメっ!!」











和希が大きく声を上げた。










………?









「ダメだよ…
そんなことしたら、沙耶もお父さんとおんなじになっちゃうっ」










そう言って、和希は泣き崩れた。










あたしは和希のお父さんを睨みつけた。









「アンタは警察に通報するから。あと、その間は和希をあたしの家に泊めるから。」







そう言って、あたしは玄関に向かった。




和希もあたしの横に並んでついて来る。








それが妙に嬉しかった。いつもは立場が逆で、あたしが守られてる側だったから。





あたしたちは、顔を見合わせて笑った。












でも、現実は甘くなくて……
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