大切な君に
お母さんは、強く掴んでいたあたしの腕を、離した。









あたしの腕は、お母さんの手の形に赤くなっていて、お母さんがあたしをどれだけ心配してるかを物語っていた。








あたしは、泣き崩れるお母さんの頭を撫で、






「あたしは、あなたが思ってるほど弱くないよ。」







お母さんは、びっくりした様子であたしを見ている。






「だから、心配しちゃだめ。」








お母さんは静かに笑った。






そして───






「和希ちゃんは、○○○警察署で事情聴取受けてるわ。」








あたしは、心からの笑顔を向けて、










「いってきます。」








そう言って、あたしは病室をあとにした。
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