大切な君に
「じゃあ、始めるわね。」




また、あの恐怖を思い出さなきゃいけない……








でも、大丈夫。




この人は信用できる。




あたしは直感でそう思った。






「和希ちゃんは、前からお父さんに虐待を受けてた?」








和希はコクっと頷く。







「じゃあ、果物ナイフを向けられたのは、初めてじゃない?」






また頷く。







あたしは、和希への質問を聞いているうちに、だんだん意識が遠くなってきた。








あれ…クラクラする。








無理に走ったからかな……?








あ……も…ダメだ──







あたしはそれっきり、目の前が真っ暗になった。
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