大切な君に
「バカっっ!!
どうしてじゃないよっ!なんで…なんであの時その事言わなかったの…?あたし、知ってるんだから……いつも、朝教室で泣いてることもっっ…全部………」







あたしは、心のなかを空っぽにしたかった。




このモヤモヤした気持ちを、すべて消し去ってしまいたかった。






「なんで……、なんでよお…なんであたし心配してんのよ…バカみたいじゃない…」




すると、




「……うっ…ヒック…あっ…わぁぁ!!」







悪魔が、あたしにしがみつく。





2人きりの保健室に響くのは、あたしと悪魔の泣き声だけ……



あたしは、悪魔をそっと体から離す。







そして、彼に小声で囁く。






「辛かったよね…、苦しかったよね…、もう大丈夫。あたしはここにいるよ。もう怖がらなくていいんだよ。」






あたしは、悪魔に笑顔を向けた。




そして、あたしはこういった。





「倉田くん。」
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