確信犯
匠が作成した、指揮内容の書類は。
抜け目ない気配り。
手ぶらでは帰さない意気込み。
それは誰にでも分かるから。
室長である匠、本人と。
秘書課の女性が相談中。
「一社二人として、まだ増えます」
「個数として200、用意だな」
土産物ひとつ、でも。
この男は拘りを見せていた。
その個数。
そして現在、夜。
納得のいく菓子折の用意方法が、すぐには思い浮かばないらしい。
「お話中、失礼致します」
委託社員の上司でありチーフである奥平(オクダイラ)さんの声がして。
匠が振り向いた。