確信犯
私の目の前で立ち止まった会長。
――覚悟を決めて
ゆっくり、顔を上げるんだ
「匠には、和菓子屋の娘など不釣り合いだと分からないのか」
思わず、ふっと息が漏れる。
「素性、ご存知なんですね」
私のコト、調べたんでしょう?
強気で初老の男を見据えた。
ところどころ、
匠と似た部分、あるじゃない。
でも頑固で、カタブツそう。
威厳だけ、肥らせちゃって。
「育ちが悪いな。お里が知れる」
業務用の笑顔は、消し去って。
ただ不敵に。
白髪が混ざり始めた男を見返した。