確信犯



私、は。


溢れた笑みを。


業務用にすり替えた。






「連絡を取ります」



あえて、何も聞かず言うと。






「一ノ瀬さん!」



驚いた様子の奥平チーフに会釈してから、実家の父と連絡を取る。






「45分ほど、頂けますか」



私の言葉に、場が和んで。



「ありがとう。だが、早いな」



匠の、訝しげな声がした。






正面から。


初めて向き合って。


言葉を発する。



「引き出物の、キャンセルが入りました。写真の菓子折です。使い回す形となり、申し訳ないのですが」



伏し目がちに。


嫌なら他を当たれ、と。


慇懃無礼を働いた。





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