確信犯
匠、は。
馬鹿ではないらしい。
瞬時に。
私の意図を、汲み取った。
「そうか。請求は後で」
彼の瞳は。
初めて、私の“存在”に。
食い込んだ。
「良かったわね、一ノ瀬さん。無駄にならずに済んで」
「奥平チーフのお陰です」
有り難うございました、と。
委託社員の先輩に、頭を下げた。
祝宴が無事に終わり。
“お礼”と称した食事の席。
私と奥平チーフの目の前には。
匠が居た。
始まりから。
計画的。
――鼻っ柱の強い女が
いいんでしょう?