確信犯
――――――
「しばらく、海外生活になる。オヤジの付き添い」
日曜に。
匠は一人でゴルフの接待を終えて。
私は最寄り駅まで送り届けられた。
現実が戻ってきて。
睦まじい空気は霧散していた。
車から降り際。
匠のそんな言葉が聞こえたけど。
都合がいい。
そう思った。
――終わったんだ
二度と、夢は見ない
「“忘れられない思い出”、ありがとうございました」
「いーえ」
優しく細まった匠の目を見てから。
別々の方向へ向かう。
あと少し――もう少し。
でも。
アナタはもう、要らない。