確信犯
待ち合わせは。
相手指定のホテル。
部屋番号を確かめて、吐き出す息と共にベルを鳴らす。
「1年半ぶりに何の用かと思えば…入りなさい。人目につく」
部屋のドアを開けたのは。
白澤印刷の会長で、白澤匠の父。
“白澤有雅(シラサワアリマサ)”。
大荷物の私を苦々しく見遣って。
白澤印刷の会長は。
部屋の中へ、私を招き入れた。
「それで」
一刻も早く片をつけようと。
応接セットに座りもせずに、白澤会長は口火を切った。
「その赤ん坊は匠の子供だと、わざわざ私へ言いに来たのか」