確信犯
私の傍ら。
ベビーカーの中の乳児を見て。
白澤会長は『やはりお里が知れる』と冷たく睨んだ。
更にはシガーをくわえようとして。
白澤会長は忌々しげに手を止める。
「一ノ瀬美森、だったな。幾ら欲しい?言ってみなさい」
白澤印刷を退職してから一年半。
機は熟していた。
私は、殊勝な笑みで提案する。
「鑑定、しませんか?貴方のDNAで。出張機関を呼んであります」
私の言葉に。
白澤会長は大きく頷く。
「馬鹿なりに手際が良いな。確かに、私の目の前でしよう」
白澤会長が言い終えると同時に。
ホテルの部屋のベルが鳴った。