確信犯
ベビーカーの中の子供を、見ようともしないで。
白澤会長はソファーから立つ。
「祖父、孫鑑定は白澤印刷宛て。母子鑑定はそちらの住所。結果を突き合わせるのは、届いてからだ」
「ご質問はありませんか?」
ソファーに座ったまま、私から問いかけてみる。
「私の連絡先は何処で入手した?」
「それなら社に在籍していた頃、秘書課のお手伝いをしていた関係で」
そんなコトか、と微笑む私に。
「匠に知らせていないなら、そのままで。鑑定後でも遅くない」
命令のような強めの口調で告げて。
会長、白澤有雅は去った。
確かに、匠には連絡もしていない。
そして私は一本、電話をかけた。