確信犯
「残念ながら」
渋い表情。
会長の衰えていない容姿は、権力者そのものの威厳に満ちていて。
「私の孫だ」
覚悟を決めた口調。
それでも、不本意さが表れている。
「妊娠中に現れなかったのは、止められると考えたからだな?」
考える時間を与えてあげたから。
忌々しさが倍増したみたいで。
宥めるように、
私は頷いてみせる。
「どんな手段で妨害されるか分からなかったので、あえて距離を置いて時を待ちました」
そう。
素直に言うことを聞いたワケでも。
身を退いたワケでもない。
傍らのベビーカーの子供に。
私は微笑んだ。