確信犯
「匠の子供は、男子だったな」
抑えた声で。
匠の父、白澤有雅は問う。
「後継者として育ててやる。口止め料を含め生活に困らない金を――」
「――そんなコトより」
会長の言葉尻を遮って。
トートバッグから。
私へ届いた母子関係証明を見せた。
「私宛ての鑑定結果です。私が母親。ご確認下さい」
「母親には興味がない。金を――」
「――会長は、ご子息とDNA鑑定をなさった事がありますか?」
二度も、私に話を遮られて。
不機嫌さを増しながらも。
当然だと言うように、会長は頷く。
「昔。間違いなく匠は私の息子だ」