確信犯



みっともなく。


現実に抗う男の姿。






――まだ…これから、もっとだ






「…君は…誰だ…」


「一ノ瀬美森です。“お父さん”」






喜びで奮えるのを堪えて。


無邪気に、会長のカオを覗き込む。






「…和菓子屋の娘など、いない」


「孫鑑定は信じるのに?」






――真実に、気付きなさい






「和三盆のチーズケーキ。重箱のお弁当。好きでしょう?ハクタク」



今度はハッキリと。


見開いた目で、会長は私を捉える。






「私が会長の娘なら――ご子息と私は、どういう関係だと思います?」



戦慄く、会長の唇。



「私の子供は? ねぇ“お父さん”」





< 152 / 500 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop