確信犯
みっともなく。
現実に抗う男の姿。
――まだ…これから、もっとだ
「…君は…誰だ…」
「一ノ瀬美森です。“お父さん”」
喜びで奮えるのを堪えて。
無邪気に、会長のカオを覗き込む。
「…和菓子屋の娘など、いない」
「孫鑑定は信じるのに?」
――真実に、気付きなさい
「和三盆のチーズケーキ。重箱のお弁当。好きでしょう?ハクタク」
今度はハッキリと。
見開いた目で、会長は私を捉える。
「私が会長の娘なら――ご子息と私は、どういう関係だと思います?」
戦慄く、会長の唇。
「私の子供は? ねぇ“お父さん”」