確信犯
人生の。
酸いも甘いも知ったハズの年齢。
そんな権力者が言葉を失くすばかりか、恐怖に引き攣っている。
――コレよ、コレ
コレが見たかったの
自分を抱き締めるようにして、笑い崩れそうなカラダを支える。
「まだ良く分かりませんか?バカなりにホラ、頑張らなきゃ」
――可笑しくって、たまらない
「…君は…そんな、馬鹿な…」
「バカは“お父さん”でしょう」
立ち上がりざま。
低い声で強く、遮って。
私はソファーで固まっている男に。
一歩、近付いた。
「一つ目は、後ろめたさ。二つ目は、嫌悪。三つ目は、恋慕」
男のカラダが、音を立て始める。