確信犯

 記憶の糸口


❇~❇~❇



母、雅は日記の中で。


父、白澤有雅を、


中国の聖獣『ハクタク』と呼んだ。






手に入れた和三盆で。


白澤有雅にチーズケーキを作り、


重箱の弁当を持たせた。






後ろめたさ、嫌悪、恋慕、苦悩、服従、覚悟、無償の愛、破滅。


母が抱き続けた感情も、


日記に書かれていた。






『子供に障害が出やすい』


血縁関係が近すぎる心配は、そこにあったんだろうけど。






幸い。


兄、匠と私には何もなく。






母、雅のカラダに魅了された男は。


懲りずに──






──突然。


部屋の空気が震えた。






ベビーカーの私の子供が、お腹を空かせた声で泣き出していて。





< 161 / 500 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop