確信犯
記憶の糸口
❇~❇~❇
母、雅は日記の中で。
父、白澤有雅を、
中国の聖獣『ハクタク』と呼んだ。
手に入れた和三盆で。
白澤有雅にチーズケーキを作り、
重箱の弁当を持たせた。
後ろめたさ、嫌悪、恋慕、苦悩、服従、覚悟、無償の愛、破滅。
母が抱き続けた感情も、
日記に書かれていた。
『子供に障害が出やすい』
血縁関係が近すぎる心配は、そこにあったんだろうけど。
幸い。
兄、匠と私には何もなく。
母、雅のカラダに魅了された男は。
懲りずに──
──突然。
部屋の空気が震えた。
ベビーカーの私の子供が、お腹を空かせた声で泣き出していて。