確信犯
――――――
産まれたばかりの弟に、母が授乳していた時。
突然、白澤有雅が現れた。
母は取り乱し始めて。
そう。
匠を――
『タクを連れていかないで』って
匠と私は。
物陰から息を呑んで見ていて。
白澤有雅の手が。
母ごと払いのけて。
何かに強く、ぶつかった音がした。
気付けば。
母のはだけた胸から、母乳が滴り落ちていて。
それを飲むのは弟ではなく――
白澤有雅、だった。
異様な光景に。
声が出なくて。
怖くてたまらなくて。
白澤有雅を慕っていた、匠は。
その場に崩れ落ちた。
――――――