確信犯
「赦して、くれ――雅…」
私を貪ろうとするケダモノ。
狂気じみた、白澤有雅へ。
母の代わりに伝える。
「何も、誓わなかったクセに。拘束の鎖だけ、ワガママで巻き付けて」
愛も、夢も、未来も。
誓わないのに束縛する。
馬鹿馬鹿しいくらいに、
男は身勝手で。
それを赦す女も、身勝手で。
「――赦してあげる。アナタが同じくらい、不幸になってくれたら」
母と、祖母と――
皆の想いを背負った私よりも
アナタが不幸になったなら
自分だけ、強いとか。
静謐だとか。
そんなハズないのに。
諦めの境地みたいに、静かだった。