確信犯
❇~❇~❇
それは、凄絶な時間だった。
5歳の私は、白澤有雅が帰ってしまうまで動けなくて。
頼るヒトなんていない異国の中。
ただ、近所の家に走った。
――子供じゃダメだ
大人じゃないと
大人を探さないと
動かない人形のような母も。
意識を失くして倒れた匠も。
どうなったか、見れなかった弟も。
私一人の肩に全てが、かかってた。
カラダの底から止まらない震えと。
助けなくちゃ、と思う焦りとで。
手足をもつれさせながら走った。
それでも。
白澤有雅に頼ろうという考えは、一切、私の頭のドコにもなかった。