確信犯
匠と私は。
病院で目が覚めたあと、異国の施設で保護された。
親しいヒトもなく。
日本の身内への連絡先もない私達。
私は。
しばらく過ごした施設から、日本人の和菓子屋の夫婦に引き取られて。
匠は恐らく。
すぐに白澤有雅に引き取られた。
私にとって。
正義は母、雅にあった。
けれど大人たちにとって。
母は不義だった。
幼い子供3人を守るよりも。
正気を失って、自殺した母。
近所付き合いもなく、子供たちを託す相手もいなかった母。
母は、無責任だと責められた。
死んだあとでも。
見も知らぬ人々から蔑まれた。