確信犯
見えるモノ
❇~❇~❇
私の目の前には。
名刺があった。
名刺を差し出したのは一人の男性。
匠から呼び出されて、待ち合わせの喫茶店で座っていたら。
「一ノ瀬美森様、でしょうか?」
屈強そうなカラダを、窮屈なスーツに押し込めて。
短く刈り上げた髪。
日焼けした肌。
体育会系の男性が声をかけてきた。
「白澤印刷の白澤匠様とお待ち合わせですよね?」
カラダつきに反して爽やかな笑顔。
戸惑いながら、私は頷いた。
「突然、済みません。僕は白澤匠とは友人で、こういう者です」
男性はそう言って私の前に座り、一枚の名刺を差し出した。