確信犯
「お仕事上…?」
私の、警戒心むき出しの呟きに。
「白澤匠様からご依頼を頂いて」
書類をクリアファイルから取り出して、城崎さんは笑顔で説明する。
「要は…妹の一ノ瀬美森さんを受取人にした保険に、白澤匠様が加入するという話です」
思わず。
目を見張った。
書類の契約者、被保険者欄は匠で。
死亡時の受取人欄は、私の名前。
「昔は、婚約者でも受取人になれたんですが今は色々と…妻、子、親、兄弟姉妹しか審査が通りません」
匠は多分。
結婚できない私を、保険の受取人にしようとして。
“妻”でも“婚約者”でもないから。
“妹”として審査にかけるつもりだ。