確信犯
どうしても嫌なら。
解約して返戻金を匠に返せばいい。
城崎さんの最後の一押しに。
私は契約書と向き合い、署名した。
「印鑑と口座番号記載のカードを携帯してるなんて、几帳面ですね」
印鑑の携帯は、総務や経理のクセ。
城崎さんが私を褒めるけど。
契約が2本決まって、城崎さんが嬉しいからに違いない。
「しっかし…」
また匠の友人モードに切り替えて。
城崎さんはじっ、と私を見る。
「匠もキレイなカオだけど…妹さんは匠と似てないけど…違ったキレイさですね。兄は北欧系。妹さんはオリエンタル系。親父さん似かな」
身内のカオを知るヒトが怖い。
改めてそう思った。