確信犯
小柄で、ツヤツヤのボブヘア。
奥平チーフは少し、やつれていた。
予感はあった。
彼女が、匠と私には共通する秘密の空気があると言った時。
その慧眼に、敬服もしたけれど。
警戒もしたから。
「昔のコトならもういいです」
静かに、答えた私に。
奥平チーフは首を横に振る。
「会長はずっと…息子である匠さんの行動を、専門家に監視報告させていて…社内のコトは、社内の人間を買収して報告させていたのよ」
つまり匠が。
私と近付いたから。
総務課の委託社員である奥平チーフを買収して、監視報告させていた。
…やりそうなコトだ。