確信犯
「坊っちゃんはお昼寝かー。ほんと、手をかけないような配慮ができる王子様だね」
私の子供用に、と。
職人気質の大工さん達が作ってくださった、ベビーベッドの中。
眠る子供を見て微笑む美濃部さん。
「感謝しています。子供にも、美濃部さんにも、社の皆さんにも」
私もベッドで眠る子供を見下ろす。
「提案、なんだけど」
美濃部さんの言葉に。
仕事用のメモ用紙を取って、対応準備をしたら。
「皆の給与計算してる一ノ瀬さんには全部バレてるから、直球で」
確かに、給与の額は知ってるけど。
「昇給交渉は社長にお願いします」
私は笑って、その先を促した。