確信犯
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気付けば。
四駆の自動車ばかり探してた。
深い緑で。
水痕なんてないほど磨かれた車体。
一度だけ乗った、匠の車。
あの、週末の送別会。
あれから1年半以上は軽く過ぎて。
私の傍らには子供だっているのに。
あの頃の私は。
匠の、携帯電話が。
何も受信しないことを願ってた。
私といる時だけは。
現実の世界に、奪われたくなくて。
掌に収まる、長方形の機械が。
匠をドコかに連れ去りそうで。
怯えてた。
私の存在は背徳だと思ってたから。
“兄”を慕う、“妹”だというコトを。
忘れてしまいたかった。