確信犯
母は。
白澤有雅を見る時はいつも。
哀しそうだった。
その中に。
愛おしさみたいなものもあって。
母はとても苦しいのだと、
思っていた。
家族を増やすことは駄目だと。
母は言っていたのに。
何が、あったんだろう。
私は。
手放しでは喜べなかった。
それでも弟は。
誰にも似ていなかったけれど。
綺麗だった。
まだ、小さすぎたから。
白澤有雅に似ていなくて良かった。
私は、そう思った。
母の哀しい眼差しは。
私の胸まで痛くなる。
母が弟に母乳を与える姿は。
神々しくさえあった。