確信犯
応接のソファーで向かい合うと、会長は要件を話し始めた。
要するに。
私が息子の匠さんと仲良さそうに、食事をしている姿を見たそうで。
「単刀直入に訊く。好きなのか?」
射貫くような目で、
会長から問われた。
その、瞳が。
冴えざえとして切れそうで。
それなのに痛ましい気がして。
息を呑んだ。
“誤解、されたくない”
この人に、勘違いをさせたくない
首を横に振って、否定する。
何故かは分からないけれど。
“私”を信じてもらいたい。
叶わないなら、会長の眼差しに自ら進んで、刺されてもいいと思った。
目撃された食事会には。
同じ委託社員である、一ノ瀬美森さんが一緒だった事。
息子の匠さんに特別な感情はない事を、矢継ぎ早に伝える。