確信犯
一ノ瀬さんが異動して、報告する事が減ると。
会長に逢える機会も減る。
秘書課の手伝いの業務時は、白澤匠室長に接触できるから。
それを頼りにしていた。
会長の躰に溺れ切った私は、いい駒でさえなくなっていた。
惨めさが増すのに止められない。
関係が始まってから一年半過ぎ。
久しぶりに抱いてくれた会長の様子が、荒々しい事に気付いた。
彼の暴挙は、王者の威厳、風格そのものだからこそ美しい。
地に堕ちるのは、似合わない。
私は会長の周囲を探って、DNA鑑定書を見付けた。
事情は、調査の報告書で察した。
私は、王者の彼が好きだ。
彼が彼らしくある為に私は動こう。
そうすれば…
一度もしないキスを、してもらえるかも知れない
そう思った。