確信犯
株の話は勘だし、賭けだった。
誘導尋問に引っかからない男に、てぐすねを引き損ねる。
「白澤印刷の、白澤有雅会長とはどういうご関係ですか?」
今度は直球で、訊ねてみる。
「あー、やっぱりそーいうコト」
うんうん、と頷く美濃部に。
何もかも見透かされた気がして。
「白澤有雅会長から、株を譲り受けませんでしたか?」
悔し紛れに追い込みをかける。
美濃部は。
ソファーに深く座り直して。
私の左耳にだけ届く声で言った。
「僕、じゃないよ」
私への憐憫がこもったような。
小さな、柔らかい声。