確信犯
❇~❇~❇
やっぱり。
匠と私は、言葉が足りない。
匠は、当たり前のようにアパートにやってきていて。
当たり前のように、歯ブラシが置かれていて。(もちろん勝手に)
当たり前のように、目の前でコーヒーを飲んでいたりする。
日々、小さな未来を約束させられていくとはいえ。
こんな約束までした覚えはない。
それでも。
勝手には、捨てられない歯ブラシ。
こだわってそうな日用品。
替えのスーツ。(絶対高級品)
まんまと、匠の策略にハメられている気がしてならない。
――なんで自由に…
子供と戯れてるの!
とは、言えなくて。
言ったら匠は、ほくそ笑んで。
「オマエも構って欲しーの?」とか言いそうだったから。