確信犯
「白澤有雅会長はね。一ノ瀬さんが異動するって聞いて、僕を先に建築会社へ送り込んだんだ」
多少、追われるとは思ってたけど。
こんなところに伏兵がいたんだ。
「で。『何も怪しいところはない、安心して』って報告してた」
え?
私の妊娠姿、知ってるのに?
「だって、誰とも会ってなかったでしょ?一ノ瀬さん、怪しくない」
何か…。
脱力する上に、思考回路が不明。
「美濃部さんは、何でそんな依頼を受けたんですか?」
半分、頭が痛いような。
半分、感謝したいような。
「うーん…そうだなぁ…一応、僕はあのヒトの“ムスコ”だから?」