確信犯
覚悟、していた。
何もかも。
動き始める前から。
触れるのも。
揺らがない勇気が必要で。
なのに。
匠の身体を。
重みを。
心地好く受け止める自分に。
鳥肌が立った。
――ど、おして
こんなに……
戸惑いが、爪先から込み上げて。
息をするのが、苦しくなる。
口角をつり上げて、見下ろす瞳。
優しい、指。
温かくて、柔らかい唇。
どんどん。
匠の、背中越しの天井が。
遠退いて。
世界が、濡れる。