確信犯
「え、と。私の弟です」
「うん。僕の弟」
ああ、もう…。
ややこしくなる!
「そうなんですけど、」
「一ノ瀬さんのお母さんが少し、政宗のコト育ててくれてたもんね」
え?
「アレ? 知らなかった?」
「何、を…」
「僕の母、一ノ瀬さんがいた国で政宗を産んだ後に亡くなっちゃって」
何か。
記憶が、また間違ってる?
「あの…私…政宗は死んだと思ってて…最近やっと、政宗は生きてるって知ったんです」
そうだ。
シスター・ナタリアは言った。
弟は、生きてて引き取られたって。
だから、白澤有雅を殺人の罪に問えないと気付いた。
手詰まりだった。