確信犯



母は、他にも隠し子がいると知っていたどころか。


他の女性が産んだ白澤有雅の子供に、母乳を与えさせられていた。






もしも、私が。


匠と他の女性との間に生まれた子供を預けられて。


母乳を飲ませていたとしたら。






子供は恨めない。


でも、やりきれない。


私なら、匠を恨む。






「一ノ瀬さん?」



カオを上げて、兄だとまだ実感のない美濃部さんを見た。






「匠を…白澤有雅と本妻との間で引き取る代わりに…政宗を、私の母に渡したなんて…」



私の言葉に、美濃部さんが頷く。






「うん。白澤の血が濃厚な子ほど、手元に置いて監視したいんだろね」



サイテーだね


美濃部さんが、ブランデーを煽ってそう言った。





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