確信犯
「大丈夫?――ミモリ」
優しい、声。
初めて。
名前つき、で。
『大丈夫?』
――今、たぶん
大丈夫じゃ、ない
「――なに、が?」
聞き返す、けれど。
――何を、だろう
そんなの、決まってるのに。
深読み、なんかして。
心が――ザラついた。
――選べないかも、知れない
突然。
迫り上がった文字を。
意識と一緒に、放り投げる。
初めて。
うろたえている自分を。
自分にも、知られたくなくて。
なかったことに――
したかった。