確信犯
ある日。
会社から帰宅した美濃部さんが、私に大きな箱を差し出した。
同じ職場というのは便利。
会社に届いた宅配便を受け取ったのは、美濃部さん。
私宛の荷物らしい。
送り主は、匠。
大きな箱の中に入っていたのは。
白い薔薇の花束。
『品種ならイギリスのジュリアは好きだけど…白薔薇が1番好きです』
匠に、聞かれたコトさえ忘れてた。
何気なく答えた、私の好きな花。
「匠、やるねー?白薔薇って“別れ”って意味より“尊敬してます”って意味で使うし、その方がキレイ」
横で美濃部さんが笑う。
「あとちょっと、我慢してね?」
頭に乗る美濃部さんの掌。
“別れ” “尊敬” どっちだろ
それでも、目の辺りが熱くなった。