確信犯



ケダモノに会うのに。


ノープランはダメだ。


こっちがヤラれてしまう。






勝手知ったる白澤印刷の非常階段から、重役フロアを通り抜けて。


美濃部さんの携帯番号に発信してから、白澤有雅の部屋を開けた。






久しぶりに見た、白澤有雅は。


入口に立つ私を見て。


眉間に寄せたシワを隠さなかった。






「大事な会議前だ。用件は?」



放たれた冷徹な声には、苛立たしさや、憎々しさがこもっていて。


動転していた白澤有雅を思い出すほど、可笑しくなる。






「色々と、メッセージを頂いておりましたのに、お返事しないのは失礼かと思いまして」



嫌味を込めて、私は笑顔で言った。





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