確信犯
政宗が、目の前にいる。
それだけでも異常事態。
「ああ。やはりあのメール相手はこの女だったか」
無遠慮な口を挟むのは、白澤印刷の会長、白澤有雅。
「僕のパソコンを勝手に触らないでください、お父さん」
柔らかい叱責が、政宗から飛ぶ。
温かく、優しそうに。
白澤有雅をたしなめる政宗。
八重は。
《お前は誰だ》と、政宗のアドレスから受け取ったメールを思い出す。
――白澤有雅、だったのか
政宗は、知らなかったんだ
そんなことに今さら気付いても。
白澤有雅と、政宗。
2人が一緒に。
八重の目の前にいるのは事実。