確信犯



いつの間にか。


私の視線は床だけを見ていて。






自分の執着度合いを、責めていた。






「お父さんは」



透き通るような政宗の声がして。


何気なく、カオを向ける。






三つ揃いのスーツ姿は。


貴公子のように気高くて。


幼い頃の面影はなかった。






「匠さんと僕の事は、自分の目の届く場所へ引き取ったのに…八重さんは引き取らなかったんですよね」






政宗の言葉は。


『女は不要だ』と言った、白澤有雅の発言を浮き彫りにしていて。


私を追い込んでいた。






ああ、そうか


生まれたコト自体を否定されたのは


“私”か


私は、いなくて良かったんだ





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