確信犯
「わからないなら、見せてやれ」
横から、白澤有雅の声がする。
ドアから入ってきた、
白澤有雅の声を聴いた途端。
機械仕掛けの人形のように。
奥平チーフが動き始めた。
見えてなかった彼女の右手には。
スタンガンが握られていたようで。
ゴトリ、と重い音を立てて落ちた。
そのまま。
奥平チーフの右手は。
上向きに横たわる匠に伸ばされて。
匠のネクタイを解き。
ジャケットをはだけさせ。
シャツのボタンを外していく。
喉の奥で。
ヒュッ、と息が鳴って。
目の前の光景を打ち消そうと、もがき始める。