確信犯
女には。
女の演技がわかる。
そう言われる所以みたいなモノが、
わかるような気がした。
目の前の奥平チーフは。
匠の、なめらかで。
しなやかで、強靭で、
美しい体躯を撫で上げていくのに。
とても苦しそうに見えて。
見てる方が、痛くなる。
私にとっては。
子供と、同じように大切で。
どちらがどうとか、
そんな判断はできないくらい。
失えないモノなのに。
同じ人間。
同じ男。
なのに、想う相手と異なるだけで。
こんなにも歪む表情。
それを見て。
私の左側にいた白澤有雅が。
焦れたように、ベッドへ近付いた。