確信犯
母の話から。
インセスト・タブー(近親相姦)の話。
少しだけ、気圧されたように。
白澤有雅は、
黙っていた。
「全然、構わない」
突然。
詰めよっていたハズの匠が。
驚くようなコトを言う。
目を瞠る、白澤有雅に。
匠は不可思議なほど、
堂々としていて。
「俺はコイツが本気で欲しい。欲しいモノのタメなら今、持ってるモノ全部、失ってもイイと判断した」
だから。
好きに広めろと。
匠が続ける。
「一ノ瀬美森が欲しいなら、それくらいして当然だ。その価値はある」
やっぱり。
不遜なカオで。
匠は嗤っていた。