確信犯
自分の何かが氷解していくような。
そんな感覚を抱いてたら。
「そろそろ、僕の出番かなー?」
突然、炭酸が抜けたような。
味のある声が響いて。
「みの、べさん…」
もう1人の兄である、
美濃部渉(ミノベワタル)さんが。
仮眠室へ入ってきた。
「一ノ瀬さん、通話しっぱなしにしてくれてありがとー」
美濃部さんの言葉に。
ハッ、とした。
会長室へ入る直前。
私は携帯電話を、美濃部さんの番号に発信したままで。
放っておいたコトを思い出す。
クッ、と笑いだしたのは。
「忘れてたのかよ」
匠だ。