確信犯
❇~❇~❇
白澤有雅の手から。
細身のペーパーナイフを。
カラダに埋め込んだ奥平チーフは。
満足そうに。
今日初めて、微笑んでいて。
寒気がするほど、キレイに見えた。
「――っ、奥平チーフ!」
私が発声したハズなのに。
左耳でしか聞き取れなくて。
鈍い痛みが増していく。
白澤有雅は。
政宗に動きを阻まれて。
一瞬、茫然としたように見えた。
――『この傷は私の物』
奥平チーフの言葉は。
白澤有雅との、“絆”を求めていて。
痛々しいほどに。
一途だった。
付けられる傷さえ。
自分以外には渡そうとしない姿に。
胸がきしむ。