確信犯
気付いたら。
私のカラダは匠に強く、
抱き締められていて。
どちらの鼓動かわからない音が。
血管から届く。
――…庇わなくて良かったのに…
奥平チーフに。
思わず呟きかけた理由は。
保険金を、私の子供に残せるから。
加入3年以内の自殺はダメだけど。
他殺なら、審議してもらえそうで。
それは1つだけ残されていた、
私に“できるコト”だった。
「――救急車呼んだよ!」
美濃部さんの緊迫したような声が。
水の中から聴こえてくる感覚に。
キモチ悪くなった。
「……ナニ…やってくれてんの?」
それは。
匠の胸に寄せた、
私の左耳に響く低い声。